- 9月29日
アーティストの徳本萌子さんから水彩画をいただいたのが一か月と半月前のこと。ふとしたきっかけでお知り合いになり、その場のノリで、お召し上がりいただいたスパイスカレーの絵を描いていただいたのだった。
「ひたちなかのジョイホンで徳本の紹介ですって言えば額縁つけてくれるので」
と教えていただいたのだけれど、どうも額縁をつけにいく重たい腰が上がらず、水彩画を描く過程で湿って歪んでしまった画用紙は、しばらく家の物置同然の学習机の上に置きっぱなしにしてしまっていた。せっかく描いていただいたのに申し訳ありませんでした。
ひたちなかのジョイフル本田の二階は趣味のフロアになっていて、眺めているのが楽しい。ガラス作家の星野さんの工房においてあった、ガラスを千度以上にして溶かす、六角形の巨大炊飯ジャーみたいな機械が店頭に普通にならんであって、あの機械はここで買えるんだという驚き。ふうん。
額装のカウンターで徳本さんに教えてもらった通りに声をかけると、淡々と額縁選びの手筈を整えてくれるお姉さん。「何色の壁に飾りますか」「この色彩感だとこのくらいの額縁のほうが…」「古民家にお住まいならこの素材がよさそうですね」こんな感じで手際よく額縁と絵を囲うマット紙を提案してくれる。絵には絵のプロがいるのと同じく、額装には額装のプロがいて、私の知らない
世界が広がっているんだなあという実感。きっと何事もそれぞれにそうなのだろう。
その場で絵を額縁に収めてもらい、今度はまた額付きの絵が学習机の上に置きっぱなしにならないよう、少し遅い時間だったけれど釘と金づちを取り出して、家の壁に絵を飾る準備をする。玄関前にスパイスカレーを飾ってみると、額縁の絵は最初からそこにいたようにそこにいて、なんだかあっけらかんとしていた。なんだか。
家に絵が飾ってあって(それも自分のために描いてくれた)、それをふとした瞬間に見つめることのできる生活はけっこうよい。額縁の中で、絵を囲って余白を埋めてくれているマット紙は、額装屋さんが額縁に絵を収める作業の過程で切り抜いてくれたのだけれど、その余りが手渡されており、そこそこのサイズ感なのだけれど特に使い道があるものではなくて、押し入れの中にとりあえず押し込んでおいてあって困っている。

