復興住宅前(2025.5)
- 良平 岩崎
- 2025年9月29日
- 読了時間: 2分
ふと一人でなにもすることのない一日が訪れる。とりあえず家の掃除と庭の手入れを始めてみたのだけれど、明確なノルマのない仕事ってどうやら二時間くらいが限界みたいで、突然作業を切り上げて畳に寝そべる。畳に寝そべるとふとおなかが空いてきて、そういえば北茨城市の海沿いにとってもおいしい(らしい)刺身定食を出すお店があったと聞いていたのを思い出して、とりあ
えず車を走らせることにした。結果としてお店は定休日だった。
山の中から車を走らせ、走らせ続けると、遠方の景色からむくりと、空の青ではない、濃縮されたような海の青が顔を出してくれる。この海は、いろんなところで、何回も見たことがある。夏場になると、どうせ青々とした風景を揺らめかしてくるのだろう。
海の見える小高いところから海辺にむけて車を走らせている道中、突如不自然なほどに黒黒としたアスファルトに切り替わる。道路の幅は広く、道路の脇には住宅などの建物はあまり見当たらない。あまりにも新しいアスファルトが続くのを不思議に思っていると、歩道に立つバス停に「復興住宅前」という文字を見つける。そういえばそういうエリアだったのか。何かを新調するということは、新調する必要があったということなのだろう。スクラップ故にビルド。
北関東から望む太平洋は、島一つなく、ただ青い。遠くに見える、小さくてなんの船だかわからない船は、そんな何もない場所になんの用事があるというのだろう。私は今の時代の義務教育を受けているので、この果てしなくて果てとも見える水平線の向こうに、知らない土地があり、知らない暮らしがあり、知らない文化があるということは知っている。それらのそのものを知っているわけではないけど、あるということは知っている。そういったことを知らない人、過去現在未来の人は、この景色を見て何を思うのだろうか。そのことを私が知る由はもはやない。


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